臨床血液
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症例
急激な経過をとり病理学的にlymphoid interstitial pneumoniaが証明されたmulticentric Castleman's disease
秋本 佳久石山 泰二郎川上 恵一郎日野 研一郎友安 茂鶴岡 延熹九島 巳樹大田 秀一風間 和男
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1995 年 36 巻 8 号 p. 742-748

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抄録
49歳,男性。某医で貧血および高IgG血症を指摘され当科に入院した。入院時,表在リンパ節腫大を認めたが,肝,脾は触知しなかった。WBC 5,300/μl, 白血球像に異常なく,小球性低色素性貧血を認めた。総蛋白11.5 g/dl, IgG 10,100 mg/dl, IgA 295 mg/dl, IgM 160 mg/dl, 免疫電気泳動では,血清,尿中にM-蛋白はみられなかった。CD4/8比0.58, ツ反は陰性であった。尿蛋白陽性,腎生検で形質細胞の浸潤をみた。リンパ節生検では,多数のリンパ濾胞と濾胞間に形質細胞の浸潤を認めた。以上の所見から,MCD (multicentric Castleman's disease)と診断し,血漿交換,CHOP療法後,etoposideを連日経口投与した。IgG 3,120 mg/dlまで減少し退院したが,4日後,発熱で再入院し,肺炎からARDSを発症し死亡した。剖検で肺はlymphoid interstitial pneumoniaの所見を示した。MCDでは本例のごとく免疫不全に起因すると思われる肺炎を併発し,急激な経過をとる例もあり留意する必要がある。
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© 1995 一般社団法人 日本血液学会
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