臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例
ATL, 多発性骨髄腫,甲状腺癌を合併し劇症肝炎で死亡したHBVキャリア
島野 俊一村山 佳予子小川 晃片平 均土屋 純秋本 佳久李 雅弘
著者情報
ジャーナル 認証あり

1995 年 36 巻 8 号 p. 774-779

詳細
抄録

症例は75歳,女性,栃木県出身。'91年10月腰痛で当院へ入院した。Hb 12.3 g/dl, 白血球数11,800/μl, 異常リンパ球22.5%, リンパ球表面形質ではCD4 84.9%, CD8 4.8%, CD25 70.0%, 抗HTLV-I抗体陽性,HTLV-I proviral DNAよりATLと診断した。なお,患者はHBVキャリアであった。また,TP 8.5 g/dlで単クローン性ガンマグロブリン分画が30.7%を占め,頭蓋骨に打抜き像を認めた。骨髄では形質細胞を7.6%, リンパ球を14.4%認めたが異常リンパ球はなかった。免疫電気泳動で抗IgGと抗λにM bowを認めた。11月に退院し経過観察となった。'92年11月微熱で某病院へ入院,異常リンパ球の増加を認めCHOP療法変法を3コース行い,末血中の異常リンパ球は消失し'93年1月に退院した。同年3月昏睡状態で当院へ入院し劇症肝炎で翌日死亡した。剖検ではATLの他に,多発性骨髄腫,劇症肝炎,甲状腺潜伏癌が認められた。劇症肝炎の発現には感染と化学療法の関与が推定された。

著者関連情報
© 1995 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top