臨床血液
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症例
methicillin resistant staphylococcus aureus肺炎治療中vancomycinにより発症した血小板減少症
岸本 卓巳
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1995 年 36 巻 8 号 p. 768-773

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抄録

methicillin resistant staphylococcus aurus (MRSA)肺炎に対してvancomycin (VCM)を使用後17日目に血小板減少症を来した2症例を経験した。2症例ともVCMを用いたdrug lymphocyte stimulating test (DLST)あるいは抗血小板抗体は陰性であったが,Platelet bound IgG (PBIgG)の増加と骨髄巨核球の絶対数と未熟巨核球の増加が見られた。治療としてはVCMの中止と副腎皮質ステロイド薬投与が有効であった。症例1ではMRSA肺炎に対してVCMのみが有効であったため,VCMを3度投与したが,その度に血小板減少が起こったことからVCMによる薬剤性の血小板減少症であると診断した。MRSA肺炎が増加している現在VCMによる好中球減少症の発生については報告されているが,血小板減少症についても考慮して治療にあたる必要があると思われるので報告した。

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© 1995 一般社団法人 日本血液学会
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