臨床血液
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臨床研究
多発性骨髄腫における血清β2-ミクログロブリンの意義
—腎機能障害マーカーと腫瘍マーカーとしての側面から—
西成田 進島田 一鈴木 良一岸上 義房沢田 海彦堀江 孝至
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1996 年 37 巻 3 号 p. 201-207

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抄録

多発性骨髄腫(MM)は形質細胞の腫瘍で,その経過中,しばしば腎機能障害を合併する。血清β2-microglobulin (Sβ2-m)はMMの腫瘍マーカーとしても知られているが,MMの腎機能障害合併例において,Sβ2-mはMMの腫瘍量を反映しているのか,腎機能障害を反映しているのか明確ではなかった。この点を明らかにするために早期の糸球体血流低下を反映することで知られている血清α1-microglobulin (Sα1-m)と24時間クレアチニンクリアランス(24 hr Ccr)をSβ2-mと同時に測定し比較検討した。この結果,腎機能障害がないとされるIA, IIA, IIIA症例においても,Sβ2-mが明らかに高値を示す例が多いこと,これらの症例ではSβ2-mと24 hr Ccr, Sα1-mが相関を示すこと,などが明らかになった。このことから,MM症例においてSβ2-mはその一部でMMとしての腫瘍量を反映している可能性はあるものの,多くの場合,潜在的な腎機能障害を反映しているものと考えられた。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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