臨床血液
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症例
ASLO著明高値を示したIgM骨髄腫
稲富 由香後藤 明彦栗山 謙桑原 三郎林 洸洋中野 優外山 圭助
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1996 年 37 巻 5 号 p. 437-442

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抄録

症例は56歳男性。高蛋白血症,貧血精査目的にて,1991年11月5日当院入院。連鎖球菌によると思われる重症感染症の既往はない。入院時検査所見では軽度貧血を認め,TP 12 g/dlで,IgGが974 mg/dl, IgAが142 mg/dl, IgMが9,270 mg/dlで,免疫電気泳動ではIgMκ型のM-bowを認めた。血清粘度は6.9と高値,ASLOが6,890 IU/mlと著増,尿検査ではκ型Bence Jones蛋白陽性で,骨髄では形質細胞が43%を占め,蛍光抗体法によりcytoplasmic IgMκ陽性の細胞集団を認めた。頭蓋骨X-Pでpunched-out像がみられた。以上よりIgM型骨髄腫と診断し,血漿交換療法の後にVCAP療法を施行したが無効のため,CHOP療法を行ったところ,IgMは低下し,骨髄の形質細胞も17%に減少した。ASLOもIgMの低下に伴い減少した。これらのことは,本症例のIgMはASLO活性を有していたことを示唆している。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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