臨床血液
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シンポジウム1
難治性白血病の治療—現況と将来の展望
ATLの化学療法
田口 博國
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1996 年 37 巻 8 号 p. 654-660

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抄録

18施設の共同試験研究により急性型44例,リンパ腫型37例の計81例の成人T細胞白血病にG-CSFを併用した強力な化学療法の効果を検討した。完全寛解29例(35.8%), 部分寛解31例(38.3%)合計74.1%の効果が得られた。50%生存期間は8.5月,3年生存率は13.5%であった。効果の持続期間は7.5月,最大44.7月の観察期間中13例が生存中であり,生存者の平均生存期間は29.1月に達している。比例ハザードモデルによる多変量解析では,予後不良の因子は,低蛋白血症,GPT高値,血小板減少であった。白血球数最低値は42.5%のコースで500/μl未満と高度の減少が起こったが,64.2%のコースで5日以内に回復し,G-CSF併用の効果が明らかであった。G-CSFを併用した強力な化学療法により,良好な寛解率が得られたが,寛解の持続は短く,今後他の治療戦略の開発が望まれる。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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