1996 年 37 巻 8 号 p. 676-681
皮下腫瘤,胸腺腫を合併したacute undifferentiated leukemia (AUL)の1例を経験した。芽球の表面抗原解析ではCD7, HLA-DR, CD38が陽性,CD34は17.5%で陽性であったが他のT細胞系,B細胞系および骨髄系の系統特異的抗原はいずれも陰性であった。Southern blot法による遺伝子解析ではTCR-δ, IgH鎖遺伝子再構成を認めた。また染色体分析では47, XY, +8, t(13;17)(q12;q21), -17, +Mの染色体異常を認めた。以上よりリンパ系,骨髄系いずれの系統特異的抗原をも発現していないAULと診断した。一般にAULは寛解導入率が悪く予後不良と言われている。本症例もJALSG-ALL87プロトコールでは寛解導入し得なかったがara-C大量療法および中等量ara-Cにmitoxantrone, etoposide, prednisoloneを用いる併用療法により寛解に導入し得た。