臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例
皮下腫瘤,胸腺腫を認めたCD7, HLA-DR, CD38陽性acute undifferentiated leukemia
土居 忠坂牧 純夫小池 和彦松永 卓也小林 大介村松 博士佐藤 勉渡辺 直樹高後 裕新津 洋司郎
著者情報
ジャーナル 認証あり

1996 年 37 巻 8 号 p. 676-681

詳細
抄録

皮下腫瘤,胸腺腫を合併したacute undifferentiated leukemia (AUL)の1例を経験した。芽球の表面抗原解析ではCD7, HLA-DR, CD38が陽性,CD34は17.5%で陽性であったが他のT細胞系,B細胞系および骨髄系の系統特異的抗原はいずれも陰性であった。Southern blot法による遺伝子解析ではTCR-δ, IgH鎖遺伝子再構成を認めた。また染色体分析では47, XY, +8, t(13;17)(q12;q21), -17, +Mの染色体異常を認めた。以上よりリンパ系,骨髄系いずれの系統特異的抗原をも発現していないAULと診断した。一般にAULは寛解導入率が悪く予後不良と言われている。本症例もJALSG-ALL87プロトコールでは寛解導入し得なかったがara-C大量療法および中等量ara-Cにmitoxantrone, etoposide, prednisoloneを用いる併用療法により寛解に導入し得た。

著者関連情報
© 1996 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top