1996 年 37 巻 8 号 p. 682-687
症例は57歳の女性。検診にて右肺に結節影を指摘され,精査中に右頚部リンパ節腫脹が出現,生検にて悪性リンパ腫(diffuse, small cleaved cell)と診断され,VEPA療法等により順調に経過していた。7カ月後発熱,汎血球減少と共に末梢血にlarge granular lymphocyte (LGL)が出現,骨髄にてLGLの増加と血球貪食像を認めた。LGLの表面抗原はCD2 (+), CD3 (-), CD16 (+), CD20 (-), CD56 (+), T細胞受容体遺伝子のβおよびγ鎖は再構成なく,EBウイルスのDNA termini probeを用いた検索でmonoclonalityが証明された。初診時のリンパ節生検標本の再検討でCD3 (-), CD20 (-), スタンプ標本でLGLを認めNK細胞リンパ腫が末期に白血化したものと考えられた。また血球貪食症候群(HPS)を合併し,血中のIFN-γ, M-CSF, G-CSF, IL-6の高値を認め,これらのサイトカインのHPS合併への関与が考えられた。