臨床血液
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症例
Werner症候群に発症し複雑な染色体異常を呈した骨髄異形成症候群
三田 正行石橋 敏幸七島 勉丸山 幸夫
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1996 年 37 巻 8 号 p. 725-730

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抄録

症例は63歳男性。47歳時,白内障手術の際にWerner症候群と診断された。平成6年8月,汎血球減少を呈し入院した。身長148 cm, 体重39 kg。顔色不良で,腕は細く,顔貌は鳥様,頭髪は疎ら,声は嗄声で,皮膚は萎縮し肘に潰瘍が認められた。Hb 8.7 g/dl, PLT 1.5×104l, WBC 2,900/μl(芽球3%)であった。骨髄穿刺では過形成で芽球が11.8%, 血球三系統に異型性が認められ,FAB分類によりMDS (RAEB)と診断した。骨髄液の染色体分析は,44, XY, -3, -5, add(4)(q?31), add(6)(p2?), del(7)(q22), add(10)(q24), del(12)(q?), add(14)(q32), -15, -16, -17, +mar1, +mar2, +mar3をはじめとする異常を呈していた。肺炎,消化管出血をきたし第11病日に死亡した。Werner症候群の報告は約700例(本邦300例)あるが,造血器腫瘍の発症は稀で白血病8例,MDS 4例である。Werner症候群では癌遺伝子や癌抑制遺伝子が変異しやすいため悪性腫瘍の発症率が高いものと考えられる。

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© 1996 一般社団法人 日本血液学会
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