1997 年 38 巻 2 号 p. 129-134
症例は27歳の女性で,1979年非定型性再生不良性貧血と診断されたが,その後の骨髄標本の再検討により,骨髄異形成症候群(RA)に診断は訂正された。1995年3月に口渇と多尿が出現。1995年4月の骨髄穿刺で,異型性芽球の増加(28%)が認められ,2カ月後,骨髄中の芽球が30%と増加し白血病へと進展した。骨髄中の芽球0.5%は弱いperoxidase活性を有し,芽球はCD13, CD33陽性で,CD11a, CD11b, CD44, CD54, CD56の接着因子を有していた。骨髄染色体は45, XX, -7であった。多尿は中枢性尿崩症によるものであることが判明した。本症例はまた胸膜炎,大腸潰瘍,副鼻腔炎,視床下部機能障害も合併した。これらの徴候は,白血病細胞の浸潤が原因と判断した。多剤併用療法を行ったが,病勢を抑えられず死亡した。