1997 年 38 巻 2 号 p. 142-145
症例は36歳,女性。慢性骨髄性白血病に対する非血縁間骨髄移植後にganciclovir治療抵抗性サイトメガロウイルス(CMV)肝炎を合併した。トランスアミナーゼ値とCMV抗原陽性細胞数がよく相関し,CMV抗原血症検査はCMV肝炎の病勢把握に極めて有用であった。Ganciclovir投与が当初一時的には有効であったものの,次第に抵抗性となり,ganciclovir継続投与にもかかわらずCMV感染は持続した。肝炎の増悪も認めたためfoscarnetを投与したところ,CMV抗原陽性細胞はすみやかに消失し,肝機能も正常化した。同種骨髄移植後に合併するganciclovir治療抵抗性のCMV感染症にはfoscarnet投与を考慮すべきと考えられた。