1997 年 38 巻 8 号 p. 643-646
Graft-versus-leukemia (GVL)効果を誘導するために,同種骨髄移植後早期にシクロスポリン(CyA)中断を試みた。4例中2例にgraft-versus-host disease (GVHD)と同時にGVL効果がみられた。特に,フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病例において,GVHDの誘発とともに微少残存病変の消失がみられた。また,CyA中断例では非中断例に比較して,Cytotoxic T細胞およびnatual killer細胞分画の有意な増加がみられ,CyA中断後のGVL効果の増強を示唆した。移植後早期のCyA中断は,白血病再発のリスクが高い症例において,有用な治療方法となり得ると考えられた。