臨床血液
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症例
Ph陰性M-BCR/ABL陽性でt(9;16)を示し,著明なDICを来した慢性骨髄性白血病急性転化例
藤原 光高橋 直樹多田 淳一樋口 敬和原田 浩史森 啓新倉 春男小峰 光博藤田 和博
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1997 年 38 巻 8 号 p. 663-668

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抄録

66歳の女性が1995年1月胸部不快感で発症。3月当科受診し慢性骨髄性白血病(CML)のaccelerated phaseと診断された。Ph染色体は陰性であったが,t(9;16)(q34;p11)の染色体異常があり,BCR/ABLキメラmRNAを認めた。hydroxycarbamide (Hydrea®)が投与されていたが,高熱と左季肋部痛のため5月入院。WBC 62,000/μl (blast 64%), LDH 3,590 IU/l, 骨髄NCC 7.4万/μl, blast 78.6%, Esterase染色陰性,POX, PAS一部陽性,CD13, CD19, CD33, CD34, HLA-DR陽性であった。CMLの急性転化でありDICも合併していた。VDS-CP療法で一時的にWBC減少を認めたが再び増加,著明にフィブリノゲンも低下し,低分子ヘパリンやFFPで治療したが,フィブリノゲン測定不能となり急性硬膜下血腫を併発し他界した。これまでに,Ph陰性でt(9;16)を伴い,M-BCR/ABL陽性のCMLの報告例はみられない。

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© 1997 一般社団法人 日本血液学会
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