1997 年 38 巻 8 号 p. 669-673
fluconazole投与中に真菌血症を来した小児がんの2症例を報告する。症例1は再発神経芽腫の女児。化学療法と原疾患により無顆粒球症となりfluzonazoleを1カ月投与していたが真菌血症を来した。末梢血好中球内に貪食像を認め,ファンギフローラY(真菌の蛍光染色法)により真菌と同定された。2日後に患児は死亡した。生前の血液培養からRhodotorula rubraが死後検出された。症例2は全身性Langerhans cell histiocytosisの2歳男児。抗がん剤に全く反応なく,無顆粒球症となり,fluconazoleを6カ月間投与していたが真菌血症を来した。末梢血好中球内に症例1と同様の貪食像を認め,ファンギフローラYにより真菌と同定された。amphotericin-Bの静脈内投与を開始したが効果無く,13日後に患者は死亡した。生前の血液培養からCanadida guilliermondiiが死後検出された。末梢血塗抹標本の注意深い観察により真菌血症の早期診断が可能になることがあり,ファンギフローラYは補助手段として有用といえよう。