臨床血液
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症例
アルコールとビタミンB6欠乏が原因の赤血球大小不同を伴う大球性貧血
岩間 博士岩瀬 理林 重文中野 優外山 圭助
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ジャーナル 認証あり

1998 年 39 巻 11 号 p. 1127-1130

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抄録

アルコール多飲者では葉酸欠乏による巨赤芽球性貧血,鉄芽球性貧血などが,ビタミンB6欠乏では鉄芽球性貧血や環状鉄芽球と無関係の小球性貧血も報告されている。われわれは,75歳のビタミンB6欠乏を伴うアルコール多飲者に,赤血球大小不同を伴う大球性貧血を認めた。骨髄に巨赤芽球性変化や環状鉄芽球を認めなかった。ビタミンB6依存性酵素であるALA合成酵素活性の減少とそれに伴う鉄導入酵素活性の異常,あるいは鉄の還元異常が推測された。禁酒にてMCVは低下し,飲酒と関係するPappenheimer小体は消失した。その後のビタミンB6投与にて,赤血球大小不同と貧血は消失した。

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© 1998 一般社団法人 日本血液学会
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