臨床血液
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臨床研究
急性転化後,rhG-CSF併用Cytosine Arabinoside中等量の化学療法により正常核型細胞出現と,12カ月以上の生存が得られた慢性骨髄性白血病
片桐 智子宮澤 啓介内田 淑子林 重文岩間 博士荘司 奈穂子川久保 建嶋本 隆司稲富 由香栗山 謙Makoto YAGUCHI根橋 良雄大屋敷 一馬外山 圭助
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1998 年 39 巻 12 号 p. 1149-1156

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抄録

G-CSF+cytosine arabinoside (Ara-C)中等量療法を中心とする化学療法を施行し,長期生存を得られた慢性骨髄性白血病急性転化(CML-BC)の3症例について報告する。化学療法はG-CSF(150μg皮下注または300μg点滴静注)24時間先行投与に引き続き,Ara-C 2∼3 g/body 6時間点滴5日間の投与を原則とし,G-CSFは末梢血好中球数が1,000/μl以上になるまで継続した。また,芽球のコントロールが不十分の場合にはVP-16(80 mg/m2 2日間)の追加投与を適宜行った。本療法を施行した3症例については,いずれも1年以上の経過で比較的良好なperformance status (PS)を保ちながら生存可能であった。2症例に治療後骨髄中に正常核型細胞の出現を認め,うち1症例ではPh1染色体および付加染色体異常が完全消失し,正常骨髄所見を呈した。また,in vitroではperoxidase陰性の芽球でもG-CSF刺激により細胞周期に導入され,かつ,G-CSF+Ara-C両者添加により,G-CSFまたはAra-C単独処理に比べて,芽球のアポトーシス誘導の増強傾向を認めた。本療法は絶対的に予後不良とされるCML-BCの治療法の選択肢の一つとして期待し得る。

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© 1998 一般社団法人 日本血液学会
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