臨床血液
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症例
原発性Sjögren症候群に合併した多発性結節性ALアミロイド症
加納 正鈴木 敬一朗川口 信三
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1998 年 39 巻 12 号 p. 1157-1162

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抄録

原発性Sjögren症候群(primary Sjögren's syndrome; 原発性SS)は涙腺,唾液腺,ときに腺外組織におけるリンパ球,形質細胞の浸潤が特徴的である。原発性SS患者にB細胞系腫瘍とその周辺疾患が高率に合併することが知られている。最近,原発性SSと下気道および口腔粘膜の多発性結節性ALアミロイド症(ALアミロイド腫)の合併例を経験した。[症例]1930年9月生,女性。1966年以来原発性SSに罹患。1996年,胸部X線写真における多発性結節性病変の精査,加療のため入院した。開胸肺生検組織の検索により,無構造の好酸性物質はCongo red染色陽性かつ過マンガン酸カリ抵抗性,さらに偏光観察下で緑色偏光(birefringence)を呈することよりALアミロイド症と診断された。多数の形質細胞はアミロイド沈着周辺,血管周囲に分布し,一部結節性分布を示した。これらの形質細胞の細胞質は,PAP法で抗λ鎖のみに染色された。アミロイド物質自体は抗λ, 抗κ, 抗IgG, 抗IgA, 抗IgMのいずれにも染色されなかった。血清および濃縮尿の免疫固定法による分析で,M成分は証明されなかった。髄外性形質細胞腫内での免疫グロブリン産生に次ぐアミロイド物質の形成が進展すると次第に細胞成分は消失するとみられる。その結果,形質細胞腫の像に代って,ALアミロイド腫の像を呈するに至ると考えられる。

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© 1998 一般社団法人 日本血液学会
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