臨床血液
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症例
腹腔内腫瘍で発症し,化学療法に抵抗性を示したCD7陽性幹細胞性リンパ腫
高橋 徹花井 幸恵能正 勝彦相馬 智彦株本 貴史西村 進林 敏昭安達 正晃日野田 裕治今井 浩三
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1998 年 39 巻 12 号 p. 1185-1189

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抄録

CD7陽性幹細胞性リンパ腫の1例を報告する。症例は47歳,男性。全身倦怠感と腰痛を自覚し1997年4月に某病院を受診し,左頚部リンパ節腫脹と腹部巨大腫瘤を指摘された。左頚部リンパ節生検でびまん性のリンパ腫の診断が疑われ当科紹介入院となった。腹部CTでは巨大な後腹膜,大動脈周囲,腸間膜根におよぶ腫瘤を認めた。骨髄生検で骨髄浸潤が認められたが,初診時末梢血には芽球は認められなかった。高用量CHOP療法は無効で,サルベージ療法としてESHAP療法を施行したが,腹部腫瘤は全く縮小しなかった。患者は1997年11月に腫瘍死した。末期には末梢血にリンパ腫細胞が出現し,リンパ腫細胞の検索が可能となった。表面マーカーはCD5, 7, 34, 38, 71陽性でCD1, 2, 3, 4, 8, 10, 13, 14, 16, 19, 20, 21, 25, HLA-DR, EMA陰性であった。免疫グロブリン重鎖遺伝子(IgH)再構成を認めたが,T細胞レセプター遺伝子(TCR) γ鎖,β鎖の再構成は認めなかった。

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© 1998 一般社団法人 日本血液学会
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