臨床血液
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症例
G-CSF, 免疫抑制剤療法後に急性骨髄性白血病(M2)へ移行した低形成骨髄異形成症候群
宮田 明出口 静吾菊地 武志長田 高壽真田 浩
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1998 年 39 巻 6 号 p. 453-459

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抄録

症例は34歳,女性。1987年妊娠時特発性血小板減少性紫斑病と診断され,その6年半後汎血球減少にて入院となった。重症型再生不良性貧血(AA)と診断,G-CSFとmethylprednisolone, cyclosporin Aを用いて加療するも改善せず,6カ月後末梢血に芽球が出現,急性骨髄性白血病(FAB分類:AMLM2)と診断,JALSG-AML92 protocolに準じて加療,完全寛解に至った。本例は初診時骨髄低形成を呈するも軽度ながら異形成像が認められ,染色体分析は正常であったが後の経過からもhypoplastic myelodysplastic syndrome (MDS)と考えるべき症例であった。最近免疫抑制療法とG-CSFの併用によるAAの治療例でMDS/AMLの発症が報告されているが,本例の如き軽微な異形成像を呈するhypoplastic MDSが含まれている可能性もあり,G-CSFの使用には慎重であるべきと考えられる。本例は26カ月寛解を維持しており,若年者のMDS overt leukemiaに対する強力な化学療法の有用性を示す症例であるとも考えられる。

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© 1998 一般社団法人 日本血液学会
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