抄録
症例は59歳男性で汎血球減少精査目的にて入院となった。WBC 1,500/μl (blasts 2%), Hb 8.1 g/dl, PLT 4.1×104/μl, 骨髄検査所見は過形成で幼若芽球の増加(15.7%)と血球形態異常を認め,染色体検査では-5, -7, +8などの複雑核型異常がみられrefractory anemia with excess of blasts (RAEB)と診断され,多剤併用化学療法が施行された。化学療法後,著明な好中球減少を来たし高熱,腹痛,下痢が持続し,腹部単純X線検査,CT検査にて腸管腔の拡張,壁肥厚,腹水を認め臨床的にneutropenic enterocolitisと診断された。白血球回復期に大量下血を来たし腹部血管造影により小腸出血と診断され開腹手術が施行された。空腸出血部位にはびらん潰瘍性病変が認められ,病理組織学的検査にて粘膜下層に異常に拡張した静脈ならびに動脈を認めangiodysplasiaと診断された。特に高齢者において強力化学療法後下血を認めた場合,angiodysplasiaからの出血も考慮する必要があると思われる。