2000 年 41 巻 2 号 p. 91-96
末梢血幹細胞採取の指標を日常血液学的検査から得ることを目的に,非Hodgkinリンパ腫患者にCHOP療法とG-CSFを投与した症例を対象として,化学療法施行後の血液細胞の動態をCD34陽性細胞の動態と比較した。化学療法後の好中球,単球,幼若顆粒球の回復は,いずれの細胞においてもCD34陽性細胞の出現量との間に相関が認められ,特に幼若顆粒球数との間に高い相関を認めた。また,単球の百分比率および網赤血球high fluorescence ratio (HFR)の最高値日は,CD34陽性細胞数の最高値日の平均2∼3日前に認められた。以上のことから,化学療法によるnadir後の単球の百分比率およびHFRを測定し,その最高値日より2∼3日後を造血幹細胞の採取予定日とし,さらに採取日に幼若顆粒球数から予測造血幹細胞量の確認をすることにより,効率的に末梢血幹細胞を採取できることが示唆された。