臨床血液
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臨床研究
血友病性関節症に対する人工関節置換術
竹谷 英之三上 貞昭阿部 純久金 一河崎 則之
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2000 年 41 巻 2 号 p. 97-102

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抄録

血友病性関節症に対して行った人工関節置換術の術後中期成績(平均経過観察期間6年)から,人工関節の治療効果および手術適応を検討した。1988年から1998年の間に20例26関節の人工膝関節置換術と8例9関節の人工股関節置換術を,全身麻酔下に凝固因子による適切な止血管理下で行った。術後のリハビリは一般の変形性関節症に対する人工関節置換術後のリハビリプログラムで行った。術後疼痛が消失し関節内出血もなくなったことからADLは著しく向上したが,関節可動域の改善は乏しく,術前よりも悪化した例が見られた。人工関節置換術はその耐久年数から若年者への適応は制限されているが,血友病性関節症患者にとって,青春期の活動的な生活の犠牲は余りにも大きく,患者への十分なインフォームドコンセントを行ったうえで止血管理が適切に行えれば,人工関節置換術は患者のQOLの向上をはかるうえで大変有用な方法であろう。

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© 2000 一般社団法人 日本血液学会
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