臨床血液
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症例
急性前骨髄球性白血病(APL)に対するATRA療法中に合併したSweet病
上野 礼子竹内 仁清水 哲男熊谷 理夫沢田 海彦堀江 孝至
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2000 年 41 巻 9 号 p. 718-722

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抄録

症例は54歳の女性で,歯肉出血を主訴に1998年5月31日当院を受診した。骨髄所見よりAPLの診断にて6月1日ATRAの内服治療を開始した。前骨髄球の増加が認められたため,6月12日より5日間抗腫瘍剤の投与を行った。6月20日より発熱,23日より結節性紅斑様皮疹が出現した。皮疹生検によりSweet病と診断した。29日にATRAを中止し,prednisoloneの投与を開始した。翌日より皮疹と発熱は軽快し,7月13日に完全寛解となった。ATRAによるSweet病は,分化した好中球の臓器浸潤により発生するretinoic acid syndromeの局所型との考えもあるが,抗腫瘍剤投与によりAPL細胞増加を抑制しても起こりうるので注意が必要である。

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© 2000 一般社団法人 日本血液学会
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