臨床血液
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症例
自己免疫性溶血性貧血と成人発症Still病の合併例
成ヶ澤 靖小野 葉子厨 信一郎
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2000 年 41 巻 9 号 p. 729-732

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抄録

症例,37歳女性。温式自己免疫性溶血性貧血(AIHA)の診断で寛解維持のためプレドニゾロン(PSL) 5 mg/日を投与されていたが,発熱と咽頭痛が出現し抗生物質投与によっても改善しないため当科に紹介となった。リンパ節腫脹,白血球増多,肝機能障害を認め,精査の結果,成人発症Still病(AOSD)の診断基準に合致した。PSLを30 mg/日に増量したところすみやかに,自覚症状と検査所見の改善が認められ退院となった。その後PSLを減量中止したところ,貧血,黄疸が出現したためAIHAの再発と診断し,PSL 45 mg/日を再開,溶血は改善した。現在までPSL 5 mg/日で外来で経過観察しているがAIHA, AOSDいずれも再発は認めていない。AOSDとAIHAが合併したとの報告はきわめて少なく,また本例の両病態は同時期の合併ではなく,両病態が交互に発症したことは自己免疫疾患の発症機序を考える上で非常に興味深い。

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© 2000 一般社団法人 日本血液学会
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