2001 年 42 巻 1 号 p. 30-34
73歳,男性。高血圧と狭心症で通院中であったが,一過性脳虚血発作のため入院となった。胸腹部大動脈瘤に合併した慢性DICと診断し,heparin sodiumとprotease inhibitorを投与した。これらの治療でDICはコントロールされたが,投薬を中止することはできなかった。これらの薬剤は持続注射で投与されているため,患者は入院治療を余儀なくされた。慢性膵炎の治療薬であるCamostat mesilateは内服薬のprotease inhibitorであるが,これらの薬剤に換えて使用したところ奏効し,患者は通院治療が可能となった。Camostat mesilateは経口投与で慢性DICをコントロールし,患者のQOLを改善した。