2001 年 42 巻 1 号 p. 23-29
症例は77歳,男性。1996年4月に発熱,皮疹,関節痛で発病。経過中急激な溶血性貧血を併発し,諸検査により自己免疫性溶血性貧血(AIHA, 低力価寒冷凝集素症)と診断。プレドニン60 mgより治療を開始し,貧血は徐々に改善したが,同年6月に急性胆嚢炎を合併し,これを契機に敗血症,DIC, 多臓器不全を呈し死亡した。その間,TNF-αやIL-6などの炎症性サイトカインが病状と相関し,systemic inflammatory response syndrome (SIRS)と診断した。剖検所見では,壊死性胆嚢炎,肝臓での赤血球貪食像と肺,胆嚢でサイトメガロ感染症が認められた。本例は低力価寒冷凝集素症とSIRSを合併した稀な1例と考えられた。