臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
症例
THP-COP療法が著効を奏した皮下原発mantle cell lymphoma
久武 純一川上 恵一郎中牧 剛日野 研一郎友安 茂
著者情報
ジャーナル 認証あり

2002 年 43 巻 5 号 p. 384-388

詳細
抄録
症例は73歳,男性。1998年4月より左上眼瞼に皮下結節が出現した。無治療で経過していたが,1999年11月から顔面に皮下腫瘤が出現,2000年1月には胸部,両上腕にも多発性に皮下腫瘤が出現した。生検ではCD19陽性,CD20陽性,CD5陽性,CD10陰性,smIgM陽性,smλ陽性,cyclin D1陽性,染色体はt(11;14)(q13;q32)であったが,bcl-1遺伝子再構成は検出されなかった。以上の所見より皮下原発mantle cell lymphoma (MCL)と診断した。THP-COP療法8コースを施行し完全寛解に導入された。皮下を含む皮膚のB細胞性リンパ腫は頻度が少なく,なかでもMCLは稀である。またMCLは平均生存期間が3∼5年,5年生存率は30%と予後不良であるが,本症例は化学治療に良好な反応を示し診断後17カ月後も寛解を維持している。
著者関連情報
© 2002 一般社団法人 日本血液学会
前の記事 次の記事
feedback
Top