臨床血液
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臨床研究
小児同種造血幹細胞移植における無菌管理効率化の検討
松原 央牧本 敦大平 睦郎神田 善伸上 昌広田野崎 隆二峯石 真高上 洋一
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2002 年 43 巻 7 号 p. 520-526

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抄録

小児患者における同種造血幹細胞移植(allo-SCT)時の無菌管理効率化の妥当性を,1994年9月から2001年5月までに施行されたallo-SCT 40症例において後方視的に比較検討した。効率化例(n=20)は,食事を加熱食,ニューキノロン剤と抗真菌剤の内服のみとし,抗生剤・抗真菌剤の吸入は中止し,無菌室入室時は下足の履き替えはせず,ガウン・マスクの着用も止めて徹底した手洗いのみとした。2群間で38°C以上の発熱日数(X)と移植後好中球500/μl以下の日数(Y)から発熱指数(=X÷Y)を求め比較した。(それぞれ全体の)発熱指数は(0.25 vs 0.38, p=0.08), 非血縁者間骨髄移植に限っても(0.36 vs 0.38, p=0.14)と有意差は認めなかった。支持療法の発達と手洗いなどの基本的な感染管理の徹底により,無菌管理効率化は妥当と考えられた。

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© 2002 一般社団法人 日本血液学会
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