小児急性リンパ性白血病に対する造血幹細胞移植の前処置にmelphalanを用いた多施設共同研究を行った。症例は123例で同種移植89例，自家移植34例（骨髄23例，末梢血11例）である。前処置はA: melphalan+busulfan 40例，B: melphalan+busulfan+全身放射線照射(TBI) 44例，その他39例である。病期は初回完全寛解(CR1) 42例，CR2 41例，その他40例で，その5年無病生存率(DFS)は63%, 41%, 33%であった。病期別に同種と自家を比較した場合，治療成績に有意差はなかった。n≥10の前処置別にCR1+CR2症例で比較した場合の5年DFSはA 63%, B 54%, melphalan+TBI 54%で有意差はみられなかった。主な重症合併症は腎不全11%, 肝中心静脈閉塞症9%, 間質性肺炎9%であった。死因は再発が最も多く48%を占め自家移植で目立った。一方同種移植では治療関連死が多かった。造血回復促進目的としてG-CSF (lenograstim) 5 μg/kgを移植後day 5より1時間あるいは24時間持続投与で行ったが，これら投与法による造血回復の差はみられなかった。
