臨床血液
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症例
肺画像所見上,移動性のびまん性浸潤影を呈し,経気管支肺生検にて診断を得たintravascular large B cell lymphoma
大川 豊薄井 紀子宇野 真二土橋 史明笠間 絹代小林 正之
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ジャーナル 認証あり

2002 年 43 巻 7 号 p. 567-572

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抄録

Intravascular large B cell lymphoma (IVL)は,全身臓器の小血管内に増殖することを特徴とする稀な悪性リンパ腫である。当科において経験した本疾患例を呈示する。症例は68歳女性。発熱および血清LDH, sIL-2Rの上昇を認め近医を受診。抗菌剤,解熱薬を投与するも無効であった。当院紹介入院後には,労作時呼吸困難,低酸素血症,著明な体重増加を伴う両下腿浮腫が出現した。画像上特徴的な移動性の無気肺像を呈したため,経気管支肺生検(TBLB)を施行した。肺胞壁の毛細血管内にやや大型の異型細胞を認め,免疫組織化学の結果より,B細胞由来の血管親和性大細胞リンパ腫症(IVL)と診断された。高齢者用に強度を減じたCHOP療法により,血清LDH, sIL-2Rの正常化を含め,症状の著明な改善を認めた。IVLは診断が困難とされているが,早期治療が予後を改善しうる可能性を有する。不明熱,血清LDHおよびsIL-2R高値等の症例では,本疾患の存在に留意する必要があり,血管を含む組織(皮膚,肺など)の生検を積極的に施行する必要があると考えられた。

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© 2002 一般社団法人 日本血液学会
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