2002 年 43 巻 7 号 p. 578-582
症例は84歳,女性。貧血と著しい白血球増多を指摘され入院。白血球数237,660/μl, 93%が豊富な細胞質を持ち,顕著な核小体を有するリンパ球様の異常細胞で占められていた。細胞はCD5, 19, 20, 22, 23, HLA-DR, IgM, IgD, κ鎖陽性であった。染色体分析では,複雑な染色体異常を認めた。以上よりB-PLLと診断した。表在リンパ節腫脹は認めなかったが,腹部CTでは脾腫が観察された。当初etoposideの投与により白血球数はコントロールされた。副作用により投薬が中断され,白血球数は再び20万/μl以上となり,激しい頭痛,複視,嘔気,嘔吐が出現した。髄液穿刺検査にて,髄液中に無数の腫瘍細胞が確認され,白血病性髄膜症と診断した。髄注化学療法により,症状の改善,髄液中の白血病細胞の消失が観察された。しかしながら,効果は一時的であり,骨髄抑制の副作用のため,髄注化学療法の継続が困難となり,髄膜炎症状が悪化し,当院初診より6カ月目に永眠された。