症例は67歳男性。1997年9月,急性骨髄性白血病(AML, M2)で当科入院。入院時,僧帽弁狭窄症(MS)と心房細動を認めたが,心機能は保たれていた。多剤併用化学療法により完全寛解が導入された。地固め療法第1コースおよび第2コース中にcoagulase negative Staphylococcus (CNS)による敗血症を併発したが,抗生剤により菌は消失,心エコー上MS以外に所見はなかった。しかしその後,完全寛解期に再び発熱し,血液培養で多剤耐性Staphylococcus epidermidis (MRSE)とAcinetobacterが検出された。心エコーで僧帽弁弁尖のvegetationを認め,感染性心内膜炎(IE)と診断。抗生剤に反応せず,弁破壊は進行したため弁置換術を施行した。術後5日目に心タンポナーデにより死亡した。造血器悪性腫瘍でのIEの発症は稀であると考えられ報告する。