臨床血液
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臨床研究
同種造血幹細胞移植後の急性肝“GVHD”の検討
土岐 典子斉藤 泰之初見 菜穂子入沢 寛之佐倉 徹宮脇 修一
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2004 年 45 巻 1 号 p. 57-60

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抄録
同種造血幹細胞移植後早期(100日以内)の肝GVHDの状態を検討するため,1998年より2002年までに移植を受けた61例の臨床経過及び血液検査,肝生検の結果をretrospectiveに分析した。ここでの肝機能障害はAST/ALTの両者が3倍以上,黄疸ありはT-Bilが2 mg/dl以上のものとした。肝GVHDの重症度分類は,consensus conferenceにおけるgrading system5)を用いた。
また,従来の黄疸のあるものに,黄疸のないものの,肝機能障害があり,肝生検でGVHDの所見を呈しているもの,更に他の部位のGVHDが発症し,その時期が肝障害の時期と病勢が一致しているものを肝“GVHD”とした。移植後早期の肝機能障害は50例 (82%)に認められ,そのうち肝“GVHD”が19例 (38%)であった。肝“GVHD”のうち,AST/ALTの上昇のみは13例 (68%)。黄疸のみは1例 (5%)。両者を伴うもの5例(27%)であった。最も頻度の高かったAST/ALT上昇のみの症例は,ステロイド治療によく反応した。
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© 2004 一般社団法人 日本血液学会
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