臨床血液
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臨床研究
鉄剤静注後血清フェリチンから求めた貯蔵鉄減少率による消化管出血定量法
斎藤 宏前田 秀明
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2004 年 45 巻 11 号 p. 1177-1180

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抄録

消化管出血により発症した鉄欠乏性貧血の患者に鉄剤を静注して治療後,血清フェリチンを追跡測定し,その指数関数的減少曲線から貯蔵鉄減少率(SID)を求め,出血量を測定する新しい方法を紹介した。SIDの測定法:血清フェリチンのデータを片対数グラフに記録し,治療開始日Sから血清フェリチンが減少して12μg/lになる日Eまでの日数Dを決める。注射鉄総量をT mg, S日とE日のHbの差ΔHbの鉄量をR mgとしてSIDを次式SID=(T-R)/Dで算出した。吸収も出血以外のロスもSIDへの影響は無視可能であり,血清フェリチン減少曲線は指数関数的直線性を示したのでSIDは出血ロスのみを示すと考えた。次式,V=(鉄のロス)/(平均Hb中の鉄量)を用いて消化管出血量29ml/dayを算出した。既報の慢性出血性鉄欠乏性貧血治療後の12例でもSIDを測定できたのでこの方法は他の慢性出血量の定量に利用できる。

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© 2004 一般社団法人 日本血液学会
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