臨床血液
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臨床研究
Rituximabが有効であった難治性特発性血小板減少性紫斑病
棚井 千春壹岐 聖子中原 史雄飯島 喜美子臼杵 憲祐桑名 正隆浦部 晶夫
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2004 年 45 巻 11 号 p. 1181-1186

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抄録

75歳女性。突然,止血困難な鼻出血,口腔内出血,全身皮下出血が出現。前医にて血小板数の著明な減少を指摘され,当科紹介となった。入院時plt 1.2×104lと低値,PAIgGが軽度高値を示した。骨髄は低形成髄,巨核球数は正常範囲内であった。末梢血中のIgG抗GP IIb/IIIa抗体産生B細胞数と,血漿中のIgG抗GP IIb/IIIa抗体の著増を認め,ITPと診断した。PSL, 脾摘,他の各種治療を試みるも反応を認めず難治性であった為,抗CD20モノクローナル抗体rituximab 375mg/m2/回を計4回投与した。投与2回目より血小板増加が認められた。4回投与終了2週間後に血小板数はピーク(15.0×104l)に達し,その後8週間効果が持続した。IgG抗GP IIb/IIIa抗体産生B細胞数及びIgG抗GP IIb/IIIa抗体は,治療後血小板増加時には減少した。難治性ITPに対しrituximab投与が有効であった貴重な症例と考えられた。

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© 2004 一般社団法人 日本血液学会
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