臨床血液
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症例
骨髄壊死による膝関節痛が先行出現したminor bcr/ablキメラ遺伝子陽性急性リンパ性白血病
佐藤 一也森 政樹目黒 明子三好 拓児永井 正室井 一男小松 則夫小澤 敬也
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2004 年 45 巻 11 号 p. 1203-1207

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抄録

症例は16歳男性。白血病の疑いにて当科に入院したが,骨髄標本では一部にリンパ芽球の集塊を認めるのみで全体が壊死組織で占められていた。入院5カ月前より右膝関節痛を自覚しており,膝関節MRIでは大腿骨遠位端周囲に造影効果を伴う低信号域を認め,広範な骨髄壊死の所見であった。急性リンパ性白血病(ALL)と診断し化学療法にて寛解導入したところ,寛解時骨髄標本では壊死組織の消失と造血の回復を認め,膝関節痛も消失した。非血縁者間骨髄移植を施行し,26カ月間寛解を維持している。移植後に施行した膝関節MRIでは壊死組織は脂肪髄化し,その変化は可逆性であった。骨髄壊死は稀な病態であるが,本例は原疾患である白血病の治療により壊死の改善を認め,その経過を追跡できたため報告する。

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© 2004 一般社団法人 日本血液学会
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