臨床血液
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臨床研究
造血器疾患における血小板輸血の現状と問題点
―アンケート調査結果より―
加藤 栄史半田 誠高本 滋
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2006 年 47 巻 12 号 p. 1514-1520

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抄録

血小板輸血に関する実態調査を行い, 全体を申込日と輸血日との間隔により分類し, 輸血当日の平均血小板値 (当日値) と使用基準値との比較を行った。その結果, 間隔0日即ち当日申込群での当日値は再生不良性貧血, 骨髄異形成症候群 (A群) で1.41×104l と基準値 (0.5~1.0×104l 未満) より高値であったが, 化学療法群 (B群), 造血幹細胞移植群 (C群) では各々2.08×104l, 2.1×104l と概ね基準値 (2.0×104l 未満) に近い値であった。一方, 間隔1日・2日での当日値はA群2.56×104l, B群3.15×104l, C群2.59×104l と3群とも高値であった。これは申込日から輸血日に至る血小板減少率を過大評価した結果, 申込日の血小板値が相対的に高くなっている事が主因と考えられた。このため血小板減少率の算定結果を基に間隔1日における申込参考値の設定を試みた。その結果, 申込参考値はA群1.0~1.5×104l 未満, B群3.0×104l 未満, C群3.0×104l 未満と算定された。この申込参考値の設定により予約制に伴う血小板減少率の過大評価を是正できる可能性があり, 血小板製剤の適正使用につながることが期待される。

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© 2006 一般社団法人 日本血液学会
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