臨床血液
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症例報告
テトラソミー8を認めた急性単球性白血病
亀岡 淳一堀内 高広宮村 耕一三浦 偉久男奥田 光崇野村 順廣川 誠澤田 賢一佐々木 毅
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2006 年 47 巻 8 号 p. 770-776

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抄録
テトラソミー8は急性骨髄性白血病 (AML) においてまれな染色体異常で, 予後不良因子と考えられている。症例は20歳女性で, 上下肢の紫斑のため入院した。白血球数6.5×109/l (芽球66%), ヘモグロビン値11.2g/dl, 血小板数101×109/l で, 骨髄穿刺検査で, ペルオキシダーゼ陰性αナフチルブチレートエステラーゼ陽性でCD4陽性CD56陽性の芽球を85.6%に認め, 染色体検査ではテトラソミー8が認められた。AML (M5a) の診断で, daunorubicinとcytosine arabinosideによる寛解導入療法が施行され, 完全寛解が得られた。しかし, 4ヶ月後にT12の髄外腫瘍で再発, 寛解が得られない状態で, HLA一致母親をドナーとして同種末梢血幹細胞移植が施行された。移植後の経過は, 右下肢の蜂窩織炎を除いて順調であったが, 49日目に再発し, 73日目に急性腎不全で死亡した。本症例はテトラソミー8の予後不良因子の側面を支持する臨床経過を示した症例と考えられた。
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© 2006 一般社団法人 日本血液学会
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