臨床血液
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臨床研究
十二指腸原発濾胞性リンパ腫8症例の臨床的検討
辻岡 貴之和田 秀穂矢田 健一郎近藤 敏範末盛 晋一郎徳永 博俊大森 公之助久保 安孝中西 秀和三上 誠春間 賢定平 吉都杉原 尚
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2007 年 48 巻 2 号 p. 134-139

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抄録

当科で治療した消化管原発悪性リンパ腫26例のうち,十二指腸原発濾胞性リンパ腫と診断した8例について臨床像及び治療経過を検討した。年齢は48歳から82歳で中央値は60歳,男女比は4/4。主訴は無症状4例,胸焼け2例,下腹部痛1例,背部痛1例であった。臨床病期は全例I EAであった。上部消化管内視鏡所見は十二指腸乳頭部周囲に白色小顆粒状隆起を認め,6例が第2部に限局,残り2例が第3部あるいは第4部にも病変を認めた。いずれもgrade 1で,免疫染色はCD79a, CD20, CD10, bcl-2陽性であった。FISH法を用いたIgH/bcl-2キメラ遺伝子解析では5例に陽性所見を得た。治療は主に抗CD20モノクローナル抗体を併用した化学療法を施行した。観察期間中央値39ヶ月の時点で7例が完全寛解,1例が部分寛解で他病死1例を除き生存中である。本疾患におけるrituximab併用CHOP (CVP)療法の治療成績は良好である。今後も本疾患に対する最適な治療法を検討する必要があると考えられた。

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© 2007 一般社団法人 日本血液学会
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