臨床血液
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症例報告
赤芽球低形成を伴う自己免疫性溶血性貧血を認めた骨髄原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫
住 昌彦市川 直明清水 郁夫四本 美保子上野 真由美小林 光
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2007 年 48 巻 7 号 p. 571-575

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抄録

症例は75歳女性。全身倦怠感,高度な貧血を認め,ハプトグロビン検出感度以下,直接クームス試験陽性であったが,網状赤血球増多は認めなかった。腫瘤性病変,肝脾腫は認めなかったが,骨髄病理組織検査ではCD20陽性の大型異常リンパ球の小集族を認めた。骨髄中の赤芽球は低形成で,赤芽球癆様の赤芽球低形成を伴った自己免疫性溶血性貧血合併骨髄原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断した。prednisoloneおよびrituximab単剤投与3クールで骨髄赤芽球の回復と自己免疫性溶血性貧血の改善が見られ,その後rituximab併用CHOP療法を計6クール行い経過良好である。悪性リンパ腫には様々な免疫異常が合併することがあるが,骨髄原発び慢性大細胞型B細胞リンパ腫と自己免疫性溶血性貧血,赤芽球癆同時合併例の報告はなく,悪性リンパ腫に合併する免疫異常の機序を考える上で示唆に富む症例と思われ報告する。

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© 2007 一般社団法人 日本血液学会
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