臨床血液
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48 巻, 7 号
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Picture in Clinical Hematology No.19
総説
臨床研究
  • 森 啓, 酒井 広隆, 真田 昌, 島本 健至, 佐々木 聡子, 東 礼美, 樋口 敬和, 原田 浩史, 新倉 春男, 小峰 光博, 藤田 ...
    2007 年 48 巻 7 号 p. 547-553
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    フローサイトメトリにより急性前骨髄球性白血病(AML-M3)を除く芽球のHLA-DR抗原発現が20%以下のde novoの急性骨髄性白血病をHLA-DR (-) non-AML-M3とした。AML109例に8例のHLA-DR (-) non-AML-M3がみられた。FAB分類ではM1: 3例,M2: 4例,M4: 1例である。骨髄では,全例細胞形態異常はなく,ペルオキシダーゼ染色は86%以上陽性であり,7例に芽球に微細な顆粒がみられた。CD13, CD14, CD33, CD34, CD56以外の発現マーカーはなかった。寛解導入療法の治療を行った7例は,全例complete remission (CR)に入った。overall survivalとdisease-free survivalは,HLA-DR (-) non-AML-M3群とHLA-DR (+) AML群では差はみられていない。
症例報告
  • 荒木 直子, 瀧本 理修, 千葉 大樹, 荒木 啓伸, 佐藤 勉, 井山 諭, 平川 昌宏, 小野 薫, 河野 豊, 高田 弘一, 宮西 浩 ...
    2007 年 48 巻 7 号 p. 554-558
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は47歳女性。平成6年12月,近医で赤血球増多を指摘され精査目的で当科入院精査となった。その結果,循環赤血球量33 ml/kgと増加しており,慢性骨髄性白血病,本態性血小板血症など他の骨髄増殖性疾患,続発性多血症は否定され真性多血症と診断した。外来で寫血療法ならびに抗血小板療法を施行していたが,平成11年頃より,血小板の増加傾向がみられたためハイドレア1000 mgを開始した。以後,Ht 47%台,PLT 40万台でコントロール良好であったが,平成18年3月上旬より上腹部痛が出現したため近医受診。保存的療法で改善しないため精査目的で3月当科緊急入院となった。入院後のCTにて,門脈より上腸間膜静脈に逆行性の血栓を認め上腸間膜静脈・門脈血栓症と診断した。同日より血栓溶解療法を開始したところ症状は徐々に軽快した。現在,外来で抗凝固療法を継続し経過観察中である。
  • 盛 暁生, 豊島 經康, 斉藤 誠, 岡 哲夫, 入江 達朗, 森岡 正信
    2007 年 48 巻 7 号 p. 559-564
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は70歳,男性。2006年3月から左足首付近の疼痛を自覚し,症状は増悪傾向を示した。同年6月当科に入院となった。入院時に意識障害を認め,血清補正カルシウムは16.2 mg/dlと高値を示した。PTHrP, TNF-α, IL-6はいずれも高値であった。X線およびCTにて左脛骨下端と左腓骨に骨融解像を認めた。骨髄検査にてリンパ芽球を48%認め,急性リンパ性白血病(L2)と診断した。カルシトニン,パミドロン酸二ナトリウムにて高カルシウム血症は改善し,意識状態も改善した。その後化学療法を施行し,骨髄中の芽球は減少した。芽球の減少にあわせて左足首の圧痛,疼痛は改善傾向を示した。しかし肺炎と消化管出血を合併し死亡した。Necropsyにて左脛骨下端には腫瘍細胞の浸潤があったと考えられた。本症例においては高カルシウム血症/骨融解の機序としてhumoral hypercalcemia (HHM), local osteolytic hypercalcemia (LOH)とあわせてproinflammatory cytokineが関与していることが示唆された。
  • 寺崎 靖, 奥村 廣和, 酒井 智子, 石浦 嘉久, 余川 茂, 渡部 秀人, 齋藤 勝彦, 大畑 雅彦, 中尾 眞二
    2007 年 48 巻 7 号 p. 565-570
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は63歳,女性。2003年10月に多発性骨髄腫(MM), IgG-κ型,stage IIIAと診断,VAD療法3コースとデキサメタゾン大量療法(HDD) 1コースにて部分寛解となり,以降MP療法を施行した。2004年11月より脊柱管狭窄症状出現,12月下旬より腎機能障害出現し,無尿となった。CTにて後腹膜に多数の腫瘍性病変と,両側尿管圧迫による水腎症を認めた。右腎瘻造設後,HDD, cyclophosphamide, vincristine, doxorubicinによる化学療法を施行したところ,一旦は腎機能の改善を認めたが,day41に原疾患のため死亡した。剖検では,13q-とt (4;14) (p16;q32)の核型異常を有する骨髄腫細胞から成る多数の腹膜,後腹膜,骨盤腔腫瘍を認めた。本例は末期に多数の髄外性病変が生じ,それによる腎後性腎不全を来した劇症型多発性骨髄腫の希少な症例と考えられた。
  • 住 昌彦, 市川 直明, 清水 郁夫, 四本 美保子, 上野 真由美, 小林 光
    2007 年 48 巻 7 号 p. 571-575
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は75歳女性。全身倦怠感,高度な貧血を認め,ハプトグロビン検出感度以下,直接クームス試験陽性であったが,網状赤血球増多は認めなかった。腫瘤性病変,肝脾腫は認めなかったが,骨髄病理組織検査ではCD20陽性の大型異常リンパ球の小集族を認めた。骨髄中の赤芽球は低形成で,赤芽球癆様の赤芽球低形成を伴った自己免疫性溶血性貧血合併骨髄原発びまん性大細胞型B細胞リンパ腫と診断した。prednisoloneおよびrituximab単剤投与3クールで骨髄赤芽球の回復と自己免疫性溶血性貧血の改善が見られ,その後rituximab併用CHOP療法を計6クール行い経過良好である。悪性リンパ腫には様々な免疫異常が合併することがあるが,骨髄原発び慢性大細胞型B細胞リンパ腫と自己免疫性溶血性貧血,赤芽球癆同時合併例の報告はなく,悪性リンパ腫に合併する免疫異常の機序を考える上で示唆に富む症例と思われ報告する。
  • 片山 義雄, 岡村 篤夫, 西川 真一郎, 波戸 章郎, 下山 学, 山本 克也, 林 祥剛, 松井 利充
    2007 年 48 巻 7 号 p. 576-580
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は66歳女性。多発性骨痛と骨髄に限局したリンパ球増殖を認めた。顆粒を特徴とする形態とマーカー上CD4・CD8陰性ながら,CD3・TCRαβ・granzyme B陽性,組織診などより,骨髄線維症を伴うT細胞性顆粒リンパ球白血病(T-cell granular lymphocytic leukemia: T-GLL)との診断を得た。これらの細胞は表面に突起を持ち,CD3のみでなくCD20も同時に陽性であった。CD3/CD20共陽性細胞は末梢血には認められなかった。fludarabineによる治療が行われ,3ヶ月にわたり緩徐な血球回復が得られた。治療後も骨髄リンパ球数は減少せず,表面マーカー上CD3/CD20共陽性の腫瘍細胞が殆どであったが,形態学的には顆粒を持たない正常リンパ球と区別しにくい細胞の割合が大きく増加しており,これらも腫瘍細胞と考えられた。診断上,末梢性T細胞リンパ腫との鑑別が難しい特異な症例と思われ,考察を加え報告する。
  • 森 直樹, 豊川 薫, 寺村 正尚, 増田 道彦, 泉二 登志子
    2007 年 48 巻 7 号 p. 581-585
    発行日: 2007年
    公開日: 2008/09/01
    ジャーナル 認証あり
    症例は78歳男性と81歳女性。これまでに血友病の既往はなかったが,突然に巨大な皮下出血,筋肉内出血が出現するようになった。APTTの著明な延長と第VIII因子活性の低下を認め,第VIII因子インヒビターが陽性のため第VIII因子インヒビターによる凝固障害と診断した。遺伝子組換え第VIII因子製剤50∼100 U/Kg, シクロホスファミド500 mg静注第1日,200 mg経口第2∼5日,ビンクリスチン2 mg静注第1日,プレドニゾロン100 mg経口第1∼5日を投与した(遺伝子組換え第VIII因子製剤—CVP療法)。2例とも1コース後に反応を認め,3∼4コース後第VIII因子活性は正常化し第VIII因子インヒビターは陰性となり,再発を認めなかった。遺伝子組換え第VIII因子製剤—CVP療法は第VIII因子インヒビターの持続的な消失に安全で有効と考えられた。
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