2009 年 50 巻 12 号 p. 1706-1710
骨髄移植後の患者には,様々な感染症が報告されている。今回われわれは非血縁者間骨髄移植後に化膿性脊椎炎を合併した症例を経験した。症例は56歳女性。急性骨髄性白血病(AML-M1)に対し,非血縁者間骨髄移植を施行した。移植後経過は順調でday80に退院となった。しかし,骨髄移植からday150に発熱,腰痛を認めた為,再入院となり,ただちに血液培養,MRIを撮像した。血液培養では起因菌は同定されなかったがMRIでS1-2領域にT1強調像で低信号,T2強調像で高信号,Gd造影では病巣全体が均一に造影され腰痛や発熱等の臨床症状から仙椎化膿性脊椎炎と診断された。抗菌薬投与により症状は劇的に改善した。易感染性宿主である骨髄移植後の患者に腰痛を認めた場合化膿性脊椎炎を鑑別の一つにあげるべきであると考えた。