臨床血液
Online ISSN : 1882-0824
Print ISSN : 0485-1439
ISSN-L : 0485-1439
50 巻, 12 号
選択された号の論文の10件中1~10を表示しています
Picture in Clinical Hematology No.41
第69回日本血液学会・第49回日本臨床血液学会合同総会
合同奨励賞受賞論文
臨床研究
症例報告
  • 戸上 勝仁, 永井 雄也, 有馬 浩史, 下地 園子, 木村 隆治, 井上 大地, 森 美奈子, 藤田 晴之, 田端 淑恵, 倉田 雅之, ...
    2009 年 50 巻 12 号 p. 1700-1705
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル 認証あり
    大動脈瘤に併発する慢性播種性血管内凝固症候群(慢性DIC)は外来中心の長期治療になるため,蛋白分解酵素阻害剤の内服や高濃度ヘパリンの連日皮下注射などが行なわれるが有効性は確立していない。今回,これらの治療で慢性DICのコントロールが不良であった2例に対してヘパリンの持続皮下注射が著効を示したので報告する。症例は67歳,89歳男性で血小板数減少,著明な出血傾向のため入院。それぞれ解離性大動脈瘤,腹部大動脈瘤を有していた。大動脈病変に伴う慢性DICと診断し,蛋白分解酵素阻害剤の内服や高濃度ヘパリンの連日皮下注射を行ったがコントロール不良で皮下の大出血を繰り返した。携帯用インフュージョンポンプを用いたヘパリンの持続皮下注射に変更したところ,凝血学的に著明な改善が得られ,長期の外来通院が可能となった。この持続皮下注射法は患者のコンプライアンスも良好で慢性DICに有効な治療と考えられる。
  • 向山 佳宏, 橋野 聡, 小野澤 真弘, 岡田 耕平, 高畑 むつみ, 加畑 馨, 浅香 正博
    2009 年 50 巻 12 号 p. 1706-1710
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル 認証あり
    骨髄移植後の患者には,様々な感染症が報告されている。今回われわれは非血縁者間骨髄移植後に化膿性脊椎炎を合併した症例を経験した。症例は56歳女性。急性骨髄性白血病(AML-M1)に対し,非血縁者間骨髄移植を施行した。移植後経過は順調でday80に退院となった。しかし,骨髄移植からday150に発熱,腰痛を認めた為,再入院となり,ただちに血液培養,MRIを撮像した。血液培養では起因菌は同定されなかったがMRIでS1-2領域にT1強調像で低信号,T2強調像で高信号,Gd造影では病巣全体が均一に造影され腰痛や発熱等の臨床症状から仙椎化膿性脊椎炎と診断された。抗菌薬投与により症状は劇的に改善した。易感染性宿主である骨髄移植後の患者に腰痛を認めた場合化膿性脊椎炎を鑑別の一つにあげるべきであると考えた。
  • 日下田 大輔, 横濱 章彦, 大崎 洋平, 田原 研一, 馬渡 桃子, 関上 智美, 小磯 博美, 斉藤 貴之, 内海 英貴, 半田 寛, ...
    2009 年 50 巻 12 号 p. 1711-1714
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル 認証あり
    59歳,男性。ネフローゼ症候群,M蛋白血症精査のため入院。入院時,肝臓の著しい腫大,腹水,全身浮腫,四肢のしびれと起立性低血圧を認めた。検査所見では貧血,腎機能障害なく,骨X-Pでは骨粗鬆症はあるが骨破壊像を認めなかった。またIgM-λ型のM蛋白は0.94 g/dl, 一日尿蛋白量は7.93 g/日であった。骨髄穿刺では異形成の少ない成熟した形質細胞を11.2%認め,腎,直腸,骨髄などの生検の結果と合わせ,AL型全身性アミロイドーシスを合併した多発性骨髄腫と診断した。VAD療法を2コース行なったがM蛋白は減少せず,全身状態は徐々に悪化した。第117病日よりbortezomibとdexamethasoneを投与したところM蛋白の急速な低下を認めが,突如無尿となり腎不全,心不全を合併し第132病日に永眠された。全身性アミロイドーシスで発症したIgM型多発性骨髄腫は極めてまれで,治療や予後に関してまとまった報告はなく,今後の症例の蓄積が重要である。
  • 三村 尚也, 辻村 秀樹, 伊勢 美樹子, 酒井 力, 小島 広成, 深井 健一, 横須賀 收, 高木 敏之, 熊谷 匡也
    2009 年 50 巻 12 号 p. 1715-1719
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル 認証あり
    リツキシマブ併用化学療法におけるラミブジン(LAM)予防投与終了後にB型肝炎ウイルス(HBV)再活性化を来したB細胞リンパ腫3例を報告する。3例ともにHBs抗原陽性のHBVキャリアであり,リツキシマブ併用CHOP療法にLAMによる肝炎予防を併用した。HBV再活性化の時期は,リツキシマブ併用化学療法終了後それぞれ6, 8, 13ヶ月後であった。また,LAMの内服期間は治療後それぞれ2, 6, 11か月であった。2例はLAMの再開,1例はエンテカビル投与によって治療し軽快した。HBVキャリアに対する化学療法時の抗ウイルス薬予防投与は広く行われているが,その投与方法や期間は定まっていない。リツキシマブの登場以来,遅発性のHBV再活性化やHBs抗原陰性例でのde novo肝炎が問題となっており,肝炎発症予防のためのモニタリング法や抗ウイルス薬の適切な使用法を含めた早急な対策が必要である。
  • 西本 哲郎, 畑中 一生, 松岡 亮仁, 上田 宏次, 米谷 昇, 玉置 俊治
    2009 年 50 巻 12 号 p. 1720-1724
    発行日: 2009年
    公開日: 2010/01/13
    ジャーナル 認証あり
    再発・難治性のびまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(DLBCL)でも抗癌化学療法に感受性があれば自家末梢血幹細胞移植併用の大量化学療法が有効であるが,高齢者の大部分はその適応は無く,支持療法へと移行せざるを得ないこともある。今回我々は,再発・難治性の高齢DLBCL患者に3回の自家移植併用のintermediate-dose melphalan療法(MEL 100)を施行し,長期無病生存を得ている2症例を経験した。症例1は初回寛解後1年以内の早期再発であったが41ヶ月無病生存中,症例2は第2再発後であったが32ヶ月無病生存中であり,いずれの症例も良好なperformance statusを維持している。Grade 3以上の非血液毒性としては,症例1の発熱性好中球減少症と帯状疱疹のみであった。効果・毒性の面から見てMEL 100によって再発・難治性の高齢DLBCL患者の予後を改善できる可能性がある。
feedback
Top