2009 年 50 巻 7 号 p. 563-567
症例は45歳男性。顔色不良,白血球増多,貧血を主訴に入院。急性骨髄性白血病(WHO分類,多血球系の異形成を伴う初発AML)と診断し,寛解導入療法,地固め療法を実施。寛解期にHLA一致の弟から同種骨髄移植を実施した。Day 7から発熱を認め,呼吸不全,多臓器不全状態へと進展した。胸部のびまん性間質性陰影が認められ,経過中合併したMRSA敗血症が改善した後も残存した。人工呼吸器管理を開始し,抗生物質とともにステロイドの投与および免疫抑制剤の変更(CSP→FK)により呼吸機能は一旦改善したが,ステロイドの減量とともに増悪した。組織学的検査によりCMV肺炎を合併した特発性肺炎症候群と診断した。ガンシクロビルの投与とともに免疫抑制療法を強化(ステロイドの増量およびMMFの追加投与)したところ,しだいに呼吸機能は改善し,day 105に退院となった。移植後早期に合併する特発性肺炎症候群に対しては免疫抑制療法の強化と積極的な呼吸管理を考慮すべきと考えられた。