臨床血液
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症例報告
ボルテゾミブ療法後に播種性接合菌症を合併した多発性骨髄腫
中村 信元矢田 健一郎神野 雅原田 武志藤井 志朗三木 浩和中野 綾子賀川 久美子竹内 恭子尾崎 修治安倍 正博松本 俊夫
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2010 年 51 巻 8 号 p. 690-695

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抄録

67歳男性,背部痛を契機に2001年10月に多発性骨髄腫IgA-λ stage IIIAと診断された。VAD療法5コース後の2003年3月に自家末梢血幹細胞移植併用大量化学療法を行うも再発した。以後,サリドマイド療法などを行うも再燃し,2007年6月入院した。入院後のボルテゾミブ(Bor)療法で,2度の腫瘍崩壊症候群をきたした。その後のCTで右肺上葉,膵尾部,脾臓の腫瘤が急速に出現し,ミカファンギンやボリコナゾールを投与するも,入院85日後に死亡した。剖検で,肺,脾臓に多発性の真菌塊と出血性梗塞が認められ,僧帽弁には真菌塊の疣贅を認め,組織学的に播種性接合菌症と診断した。Bor療法後の腫瘍崩壊によるアシドーシスや,コントロール不良の糖尿病,輸血による鉄過剰,抗真菌薬投与中のブレークスルー感染症などが発症の誘因と考えられた。

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© 2010 一般社団法人 日本血液学会
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