抄録
立川相互病院にてmonoclonal gammopathy of undetermined significance (MGUS)と診断された114症例を対象として,多発性骨髄腫(multiple myeloma; MM)および類縁疾患への進展を後方視的に解析した。MGUS診断時の年齢中央値は68歳3ヶ月,観察期間の中央値は9年5ヶ月,計1,170人年であった。MMあるいは類縁疾患へ進展したのは114例のうち13例(11%)であり,進展までの中央値は9年6ヶ月,年齢中央値は78歳8ヶ月であった。累積危険率は,5年,10年,15年,20年でそれぞれ3.0%, 9.0%, 11.4%, 32.1%であった。本邦におけるMGUSにおいてもMMおよび類縁疾患への進展の危険率は欧米での報告と同様であり,前がん状態として注意深い観察が必要であることが確認された。