2012 年 53 巻 4 号 p. 465-468
症例は40歳,男性。急性骨髄性白血病の第1寛解期に非血縁者間同種骨髄移植を施行した。Day 101にvaricella-zoster virus (VZV)感染症を合併したが,抗ウイルス薬およびγグロブリン投与にて改善した。Day 119にしびれと複視を訴え,症状増悪のためday 147に入院した。頭部MRIおよび髄液検査などから免疫介在性脳脊髄炎と診断した。大量γグロブリン療法が奏功し,その後再燃を認めていない。免疫介在性脳脊髄炎は,稀な炎症性脱髄性中枢神経系疾患であり,同種移植後の発症報告は少なく,VZV感染症後に限定すると報告例はみられない。本症例の臨床経過や診断,治療は示唆に富み,文献的考察とともに報告する。