臨床血液
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症例報告
KIT変異を伴う治療抵抗性AML1-ETO陽性AMLに対するチロシンキナーゼ阻害剤の使用経験
上山 潤一呉 彰奥野 啓介佐野 仁志田本 直弘神﨑 晋
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2012 年 53 巻 4 号 p. 460-464

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抄録

t(8;21)/AML1-ETO陽性AMLは,予後良好群と考えられているが,そのうちKIT変異を伴う場合の明確な予後について,結論は得られていない。私たちは,造血細胞移植(HSCT)後に再発したKIT変異を伴う治療抵抗性AMLの16歳男子に対して,チロシンキナーゼ阻害剤(TKI)の治療を実施した。イマチニブは,31日間投与するも治療効果が乏しかったため,ダサチニブに変更して87日間投与したが,重篤な鼻出血が持続したことから治療を終了した。今回の検討は,臨床症状とAML1-ETO定量値の変化を病勢の指標にTKIの効果を判断したが,経過中,病状は進行し,AML1-ETO値の改善は認められなかった。尚,TKI至適血中濃度の測定を行なっていない。KIT変異を伴うAMLに対するTKI治療は,ある一定の疼痛緩和効果をもたらしたかもしれない。しかしながら,TKI単独療法は,治療抵抗性の状況下においては考慮すべきではないと考えた。

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© 2012 一般社団法人 日本血液学会
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