2012 年 53 巻 5 号 p. 535-539
症例は56歳男性。前医にて急性骨髄性白血病(AML with myelodysplasia-related changes; AML with MRC)と診断され,idarubicin/cytarabine併用療法などによる寛解導入療法を受けるも寛解導入不能で,移植目的で当科に転院した。非寛解状態で骨髄非破壊的前処置を用い臍帯血移植を施行した。移植後day12に血球貪食症候群(Hemophagocytic syndrome; HPS)を発症し,ステロイドパルス療法を行ったが改善せず,etoposide少量(50 mg/m2)投与を3回行ったところ血球貪食症候群は軽快しday35に生着し,完全寛解を得た。移植後早期にHPSを合併するとステロイドを始めとした治療に抵抗性で,高率に生着不全に陥るため予後不良とされているが,本症例は移植後早期のHPSに対しetoposide少量の複数回投与が安全かつ有効である可能性を示している。