抄録
Piperacillin-tazobactam (PIPC/TAZ)は,β-ラクタマーゼ阻害剤配合ペニシリン系薬で,米国感染症学会の発熱性好中球減少症治療ガイドライン(2010年改訂)で,高リスク群に対する単剤治療の第一選択薬のひとつとして推奨されているが,本邦においては本剤の臨床経験に関する報告が少ない。本研究は,オープンラベル非無作為化前向き臨床試験で,2009年10月から2010年12月までに当科で入院治療された発熱性好中球減少症49件(高リスク群36, 低リスク群13)を対象に本剤の臨床効果と安全性を検討した。有効率は72.1%であり,発症時のリスク,全身状態,基礎疾患,最低好中球数のいずれも,有効率に対して有意に影響しなかった。また,本剤に関連すると思われるgrade 3以上の有害事象は認められなかった。結論として,造血器疾患の発熱性好中球減少症の治療薬としてPIPC/TAZの有効性と安全性が本邦においても確認できた。